旅立ちのとき1
今日の物語
―谷田部家―
1964年(昭和39年)12月23日になりました。
お父さんが、帰ってくると約束したお正月はもうすぐです。
茂じいちゃんは、せっせと炭焼きをしています。
みね子たち他の家族は、年末の大掃除中。
みね子「明日は餅つきの準備しないとねえ」
みね子は畳を拭きながらいいます。
美代子「ええ?みね子、映画いかないのけ?」
みね子「うん、行かねえ」
美代子「吉永小百合の映画でしょう?評判なんでしょう?「愛と死を見つめて」。見たいんでしょ?」
みね子「違うって、お母ちゃん。私は、楽しい映画は好きだけど、哀しいのは苦手なの。だから、やだよ、私。今は楽しいのしか見たくないの」
美代子「…そうけ…」
みね子「うん」
―翌日(?)谷田部家の庭―
この日は餅つきです。
みんなで順番に餅をついて笑い合い、出来立ての持ちをほおばります。
みね子の心『お父さん。年の瀬が近づいていますが、いかがお過ごしでしょうか?東京の冬は奥茨城より少し暖かいと聞いていますが、本当ですか?今年の冬はなんだか少しいつもより寒く感じます。みんな、お正月をお父さんと過ごせることを楽しみにしていますよ。帰ってきてくださいね…みね子は、信じてお待ちしています』
餅つきが終わった頃、時子の母・君子がやってきました。
君子「どうもどうも~♪♪ 美代子、ちょっと…」
君子は、美代子を離れた場所に呼びます。
美代子「ん?」
君子はこっそりお金を渡そうとします。
君子「これ…少しだけど、なんかの足しにして」
美代子「!いいよ!いいよ!やだよ!」
君子「何言ってんの!どう考えたって、あんた今困ってんでしょうよ!いいんだってば!」
美代子「やだって!」
君子「なんで!?」
美代子「当たり前でしょうよ!一生の親友だからだよ!お金借りて、引け目なんか感じたくないの!」
君子「そんなの感じること…!」
美代子「あんだよ!君子!あんの…!」
君子「…分かったよ、ちょっとまた来るから!」
美代子「え?何?また来るって」
君子「うるさい!」
―しばらく後、谷田部家―
みね子たちが家に戻り用事をしていると、君子が大きな荷物を抱えて再びやってきました。
君子「また来ました!お邪魔するよ!」
美代子・みね子「?」
君子「これは、我が家からのお歳暮です!気持ちの品ですので、お金ではなくて品ですから、受け取っていただきますので!♪♪」
美代子「……:」
君子「お肉!ね♪シャケ♪♪」
君子はどんどん色んな品を床に並べます。
美代子「……」
君子「なんか文句あんの?美代子。ないよね?」
美代子「………ぷ…!ふふふ!」
美代子は思わず笑い出し、君子も一緒に笑います。
美代子「もう~…!ありがたく頂戴いたします」
君子「今年もお世話になりました。来年もよろしく」
2人はまた笑い合います。
みね子「君子さん、ありがとう…♪」
君子「うん♪あーあ、重かった~!」
美代子「当たり前だよ~こんなに持ってきて~!ふふ!」
―夜、大みそか、バス停―
とうとう12月31日になりました。
みね子たち兄弟はバス停まで父を迎えに行きますが、父は帰ってこないまま、すっかり日も暮れてもうすぐ最終バスの時間です。
最終バスがやってきました。
バスの扉が開きますが……
車掌・次郎「…みね子、悪いな…今年、最後のバスだ」
みね子「…次郎さんが謝ることないよ。良いお年を」
次郎「良いお年を…」
みね子は微笑みます。
みね子「…帰ろっか」
ちよ子「…うん」
進「お父ちゃん、帰ってこないの…?」
みね子「うん。仕事が忙しいんだね、きっと」
進「うん…」
みね子「帰って紅白歌合戦見るっぺ!」
―夜、谷田部家―
みね子たちだけが家に帰ってきました。
美代子「おかえり~お風呂沸いてるから入ってね♪」
ちよ子と進はお風呂に急ぎます。
みね子は、微笑みを浮かべて首を振り、母ちゃんとじいちゃんに父ちゃんが帰ってこなかったことを合図します。
美代子も微笑んで頷きます。
―元旦の朝、谷田部家―
年が明け、この日は皆 着物を着て食事をします。
茂じいちゃんは3兄弟にお年玉を渡しました。
みね子は自分の机に行って封筒を取り出し、再び着席します。
みね子「みんな、聞いて下さい。私は今年の春に高校を卒業したら東京に行くことを決めました」
ちよ子「え…」
進「お姉ちゃんが?」
みね子「うん。そしてそして、お父ちゃんも見つけて来たいと思ってます♪」
進「お父ちゃん?」
みね子「お父ちゃんね、東京で迷子になっちまったみたいなんだ。だからお姉ちゃん、見つけてくるしかなかっぺ?」
みね子「ちよ子、しっかり手伝うんだよ」
ちよ子「うん…」
みね子「進も、しっかりすんだよ」
進「うん…」
みね子「じいちゃん、お母ちゃん、谷田部家をよろしくお願いします。へへ」
茂「…ふふ、何言ってんだ…」
美代子はみね子に向かって丁寧にお辞儀をします。
みね子「というわけで!これ!姉ちゃんからのお年玉だ~♪」
みね子は妹たちにお年玉を渡します。
ちよ子と進は、姉が東京に行くという寂しさでみね子に抱き付きます。
みね子「なんだよ~泣くほど入ってねえよ~あはは!」
―夜、谷田部家―
みね子と美代子は、2人で台所の片付けをしています。
美代子「みね子…、お母ちゃん…あんたに謝らないと…」
みね子「なんで?」
美代子「あんたに決めさせてしまった。あんたに言わせてしまった。…それはお母ちゃん…ずるいよね…。…お母ちゃんから言うべきだった。お母ちゃんからみね子にお願いするべきだった。お母ちゃん…頭の中で思ったよ…、お父ちゃんがいなくなって…この家を守っていくためにはみね子に」
みね子「やめて。……やだよ…。…お母ちゃんに言わせたくねえよ…。だから自分から言ったんだよ。だから言わないで。言わないで…お願い。言わないで…」
美代子「………わかったよ…………」
みね子「……お母ちゃん………」
みね子は子供のように泣き出し、美代子はみね子を抱きしめます。
みね子「……お父ちゃん……帰ってこなかったね………」
美代子「……うん………」
みね子「…うう……」
美代子「…大丈夫……」
美代子も涙を流しながら、みね子の背中をぽんぽんと叩きます。
つづく
今日のあさイチ受け
有働さん、涙目でスタート!
いのっち「いやぁ……なんていいドラマなんですかね…」
有働さん「一言連絡がね…どこ…無事かどうかだけでも」
いのっち「それが分かればね…。…また泣いてるんですか(笑)」
有働さん「だって…(笑)17歳の子にああいう話をさせなきゃいけないって…ねえ…」
いのっち「でも朝ドラっていいですよね。日本中が朝から同じ気持ちになるっていうね」
有働さん「朝から皆メイク崩れするっていう(笑)」
いのっち「久しぶりに…お使いください」
いのっち、ハンカチを渡す
有働さん「すいません!(笑)」
今日の感想
おお…久しぶりのいのっちハンカチ!(笑)
今日の有働さんは久しぶりになかなか号泣でしたね。
今日の受けでね、こんだけずーーーっと「朝ドラ」を見てきているいのっちが「なんていいドラマなんですかね」「朝ドラっていいですよね」と、しみじみと言いました。
いのっちがこう言いたくなる気持ちすごく分かる!
ひよっこは私も毎回「なんていいドラマなんだ…」「なんかすごいぞ…ひよっこ…!」って思う!
これまでだって朝ドラをずーーーっと見て来てるあさイチ司会者の2人だけど、あえてこんな風にしみじみ言うことってほとんどなかったんじゃないかな?
ひよっこは、なんだかすごいんですよ…!視聴者の心に与える力がすごく大きい!
ずっとそう感じてたけど、今日いのっちまでしみじみ言ったので、やっぱり大多数は「ひよっこ…なんかすごいぞ…!」と感じてそうですね。
ちなみに皆様、今日も泣きました?
私は泣きました。
なんかもうほんと毎日泣いてるんですけど。
有働さんの言う「朝からメイクが崩れる」ってほんとそうですよね(笑)
有働さんなんて今まさに本番中なのに泣いちゃうっていうね…!(すごいな…有働さんって…!いや、ひよっこ(朝ドラ)がすごいのか?)
もうね~まずね~今日も君子さんに泣かされましたよね~!
なんなの、もう!絆がすごすぎ…!ほんと、一生の親友!
たしか、みね子んちから時子ちゃんちまで自転車で20分って言ってましたよね!?君子さん、徒歩で来てたから1時間近くかかってることになりません!?1時間かけて、ちょくちょく畑を手伝いにきてくれてた上に、今日は1時間かけてお金持ってきて1時間かけて帰って、また1時間かけて「お歳暮」もってきてくれて1時間かけて帰ったことになりません!?
ん……?いや…さすがにすごすぎるような……自転車で20分という設定は忘れたほうがいいんでしょうか…?(;´∀`)
まあ、どっちにしてもあんな大荷物抱えて来てくれるなんて、なんて優しい…!あんな大荷物でもう1回帰れとはさすがに言えませんもんね。
気を遣わせないようにケラケラ笑うとこもすごく優しくて大好きです。
こういう親友がお母ちゃんにはいるっていうのは、みね子が家族を残して東京に出る時の安心にもなりますよね。
そして…お父ちゃんが帰ってこなかった件…。
次郎さんが最終バスだと言って、帰ってこないことが確定した時、すごく泣いてしまいました。
なんで帰ってこないのよ…ほんとに何があったのよ…こんなに健気な家族を置いてどこにいるのよ…!!!!なんだか腹立たしい気持ちと、実父ちゃんのこともとても心配な気持ちが入り混じっています。
そして、みね子は自分の口で子供たちに全てを伝えました。みね子…なんていい子なんだ………!!!
お母ちゃんに「家庭のために出稼ぎに行って」って言わせたら、お母ちゃんはずっと苦しい思いしますもんね…家庭の事情でみね子に苦しい思いさせてるって…。
みね子が自分で決めて自分で行って頑張るということがすごく重要なことだったんですね。今日の2人の会話ではじめて気付きました。
宗男叔父さんが以前に「父ちゃんは家族のためにって頑張ってんだぞ。かわいそうなんて思っちゃダメだ」って話したことがちゃんとみね子に伝わったからこその決断だったように思います。
母ちゃんがずっとどうしようどうしようって思ってた進への説明も、みね子がさらっと「迷子」という言葉を使ってくれましたね。これには驚きました。
毎朝ギリギリにバスに乗り込んでいたみね子はもういないのかもしれません。
でも、最後の最後、母ちゃんと2人の時にようやく涙を流せた姿は子供のようでした。
お父ちゃんが帰ってこなかったんだもんね…当然だよね…ずっと涙をこらえてたんだよね…!!!もう…みね子が健気で健気で………!
なんていうかね…もう日本中の朝ドラファンがみね子を応援してる気がします。
私は奥茨城に残るって言ってたみね子の人生が変わっていきますね。
みね子頑張れ…!!!
…お父ちゃん……………
コメント
君子さん、優しいですよね~(T^T)お金は受け取らないって言った時、物持ってくるんだろうと予想しましたが、それでもウルウルしちゃいそうでした。しかもお歳暮って言われたら返せませんよね~!みね子の「お父ちゃんは迷子」もそうだけど、苦しいことをサラッと笑顔で言われちゃうと、受け入れるしかないって気分になりますね。
みね子が東京行きの話をしたシーン、進はまだ子供の表情でしたが、ちよ子は大人の顔になってましたね。おねーちゃん2人は、これからどんどん成長していくんでしょうね。
にしても、父ちゃんに何があったのか・・・
るんるんさん
物を持ってくるって予想されてたんですね!すごい!
確かに、苦しい時でも笑って言うシーンは結構ぐっときます。
現実でも苦しさや悲しさを隠そうとして笑顔で言われると、受け入れる&助けようって余計に思うかもしれません。
ちよ子の成長がちょっと感じられるようになってきましたよね、ちよ子がどんなお姉さんになるのか今から結構楽しみです。