スカーレット最終話の感想です。
ついに完結です。
琵琶湖
まずは琵琶湖。1話で初めて琵琶湖を見た川原一家。その時のお父ちゃんが言った言葉を、最終話でそのまま喜美子が武志に伝えていましたね。
「日本一の湖や。よう見とけ。こっちの心も大きなるで」
喜美子にとって琵琶湖はお父ちゃんお母ちゃんとの思い出の場所ですもんね…。今は亡きお父ちゃんとお母ちゃんも、喜美子の中で生き続けていますね。
個人的に、武志の描く水と琵琶湖がリンクする描写があると予想していましたが、そういう描写はありませんでした。残念。でも滋賀県では琵琶湖は「マザーレイク(母なる湖)」という愛称で呼ばれているそうですし、そもそも水って「命の源」って言いませんでしたっけ?
私としては、命と向き合って真摯に生きた武志・水の器・琵琶湖は、つながっている演出・表現だと思います。
スカーレットにおいて重要な言葉である「炎」との対比。「熱くなる瞬間は誰にでもある」「炎は消えない」「ゆるぎない強さ」という熱い想いがドラマで描かれた一方で、武志が描いた「水」や「琵琶湖」からは、やさしさ・愛・かけがえないきらめき・穏やかさ、のようなメッセージを感じました。琵琶湖のずっと変わらないのであろう雄大さと光り輝く美しい水面には、武志が実感して生きた「いつもと変わらない一日は特別な一日」という言葉を強く感じました。
「大事なものは大事にせなあかん」「でもつなぎつづけるためには時々距離をとることも大事」、「炎」「水」、相反したメッセージが存在しているのは、残酷な現実とその中にも存在している大きな愛や力をしっかり描いてきたスカーレットらしいです。
生きるということは、ひとつの側面だけで語れないことが多いですから。
滋賀県を舞台にしながら、琵琶湖は1話と最終話(とその前)の2回しか出てこなかったスカーレットでしたが、逆に1話と最終話に琵琶湖をもってきたこと、そして主役の喜美子ではなく武志と水(琵琶湖)をリンクさせたことは、初めから想定してたの?と聞きたくなるすごい演出でした、個人的には。
武志
喜美子と武志の幸せな時間は涙が出ました。小さい時もギューしてましたよね。「ええに決まってるやん」と言ったのに照れてすぐ撤回する武志もかわいくて。
「幸せやで」
武志のこの言葉に涙が止まりませんでした。
「死なせへん」
そして武志は亡くなってしまいました。いわゆる「ナレ死」の形でしたね。
「死なさへん」、言うてしもた。エゴやな
喜美子の言葉が重かった…。だけど喜美子は「お母さんの命があれば息子さんは助かりますがどうします?」と言われれば迷いなく自分の命を捨てたのだろうと思う。それくらいの想いで「死なさへん」というのは エゴじゃないですよね…。
武志…生きてほしかった。途中、「このドラマの流れだとやっぱり…」と思ってしまうこともあったけど、やっぱりそれでも生きてくれることを願いましたが、現実はそんなに簡単ではなかった。武志…。
八郎さんに感じた「いい人過ぎて死んでしまうんじゃないか説」がまさか武志に適用される説になるとは…あの頃は思いもしませんでした。武志…。
生き抜いた武志
大崎医師が武志が亡くなった後に登場した意味が大きかったですね。
「亡くなる3日前に、握手をしたんです」
「意外にも力強くて、おお すごいなって」
医師として、たくさんの患者さんの最期を見て来た人が感じた「強い」「すごい」という言葉だからこそ、最後の最後の瞬間まで武志が精いっぱい生き抜いたことが伝わってきました。
そのシーンをドラマで描かなくとも。スカーレットはほんとに…演出がうまいですね…。
生きていく喜美子
サブタイトルの「炎は消えない」通り、喜美子の炎は消えません。今日 場面転換の合間に 喜美子が一人で近所の坂道をただ歩くだけのシーンが流れたのも印象的でした。
喜美子はこれからも生まれ育った信楽の町を歩き、家族や友人と共に、陶芸家として生き続ける……ということが伝わってくるラストでした。
喜美子の人生において、武志のことは大きな出来事ではあるけれど、「人生のすべて」ではない。けど、失ったものはあまりにも大きく、決して埋められない穴がぽっかり空いていて、それでもひたむきの人生を続けるのだろうと思うと……私は少し切なかったです。
ただ、「ああ、この人はなんか優しい人だなぁ」と思える人は話をしてみると過去につらい経験を乗り越えたりしていることが多いので、喜美子もきっと 一段と強く優しく生きていくのだろうなと思います。(ここでも 「失ったもの」と「得たもの」という相反する事柄が同時に存在していますね。)
くりかえしの演出
最終話は、くりかえしの演出(っていうのかな?)が目立ってました。
琵琶湖での喜美子のセリフが、お父ちゃんが昔言った言葉。
ハチさんと交わした挨拶「おう」「おう」と、喜美子が食べていた「たぬきそば」は、ハチさんと武志が再会した時の流れ。
縁側でみかんを食べるハチさんと喜美子。
フカ先生と同じように 新しいチャレンジのために長崎に移るハチさん。
ハチさんと喜美子は、今日の縁側みかんを区切りにまた別れることになりましたが、今回の別れは前回とは違いますよね。次に会った時は、武志とハチさんのように・今日の喜美子とハチさんのように。「おう」「おう」と軽く挨拶して会えることでしょう。
最後に
スカーレット、ついに完結しました。
だいたい朝ドラは最後にTHE大団円!という同窓会風のにぎやかな感じで終わることが多いのに、今回は…なんというか…さすがスカーレット。そんな優しい終わり方じゃなかったですね。悲しくもあり切なくもあり、その中に幸せや未来を見つつも、やっぱり切なくもあり…だけど生きていかないといけないという過酷さや強さがあり…。一言では言い表せない感情です。
ラストシーンは炎を見つめる喜美子の表情で完結。言葉はなし。もうほんとにすごい。このドラマ。
「あれ?この父親えげつないぞ?」というところから始まり、現実の過酷さや一生懸命生きる人を逃げずに描いてきたスカーレット。一体どんなドラマになるのか不安と期待が入り混じっていましたが、最後の最後までその姿勢を変えずに、つらいことも光も全て描き切ったと思います。私としては、唯一無二の朝ドラになったと感じました。(と、言っても私もたくさん朝ドラを見て来たわけじゃないので、自分が見て来た範囲だけの話ですが)
この過酷な現実もりだくさんのスカーレットは、戸田恵梨香なしでは叶わなかったと言えるのでは。戸田さんだけではなく、全俳優陣が「この人でなければ、このキャラクターはなかった」と思わせてくれる見事なキャスティングだったと思います。キャスティングに負けてない脚本、脚本に負けてないキャスティング。それをドラマとして違和感なく描けたのは 支える各スタッフさんたちの力もあってのことだと思います。久しぶりに、力のこもったドラマを見せてもらった気がします。まさに炎のドラマと言えるかも。
拍手お礼など
さてラストは、ランダムお返事です
>あの話はマナ役の人のインタビューに載ってましたが、その部分はカットされたんだって!えー、残念~流すべきでしたよね~
そうなんですね~どのシーンで歌ったんだろう…武志は横にいたのかなぁ。気になります。
> 一応展開を予想すると、数年が経過してちや子さんと草間さんが結婚していて、真奈ちゃんは亡き武志君の子供を(産み)育てている・・・何て感じですかねぇ。 喜美子と八郎はそのままの関係で、武志と真奈の子供を見守りつつ陶芸を続けている・・
こういう展開だと少し明るいですよね。でも現実の過酷さを描き続けたスカーレットはそんな優しいものは描きませんでしたね(笑)ちなみにちや子さんと草間さんは絶対あの後関係が進展してると私も思います。中年同士だし結婚やお付き合いとまではいかなくても、きっと人と人として強い絆を持っているはず!
>明日が最終回だと思えない今日の回。それこそが「いつもと変わらない1日」、なのかもしれないですねー
わあ!ほんとだ!「これほんとに最終週なの?」みたいなドラマを描いていた意味はそこにあったんですね。
>ふと気付いた、陶芸って「手」で作ってるんやなぁって。 全てが繋がってますね。
わあ!ほんとだ!(二回目)陶芸のシーンは手のアップも多くなりますし、「手をつなぐこと」にこだわったストーリーは「陶芸」からインスピレーションされたものなのかもしれませんね!!(興奮)
昨日の記事にも拍手やメッセージをありがとうございました。お返事はランダムですが、すべて楽しく読ませていただきました。
そして皆さん、今回も半年間のスカーレット完走 おつかれさまでした!!
途中 見るのがしんどいとおっしゃっていた読者さんも何人かおられたのも事実ですが、よくコメントやメッセージ下さる方の中では「離脱します」というはっきりした宣言はなかったので、常連さんたちとは今回も一緒に完走できたのかなと思っています。半年の長丁場(しかもきっつい現実をつきつけてくる)ほんとにおつかれさまでした!
(やっぱり最後の一週間がこういう展開だったので…後から振り返ってみると、スペシャルサニーデイのスピンオフでの息抜きは必要だったなとちょっと思ってます)
コメント
見ごたえのあるドラマでしたね~今週は特に「一見穏やかでいつもと変わらない一日」でも「何かが確実に変わってる一日」そんな気がしました。大きな変化があっても日々は流れていく。流れていく日々の中でも、自分らしくあるように。そんなメッセージを感じました。また、主題歌の歌詞に出てくる「炎」は外から見える・感じるだけではなく、心の中で誰にも気づかれなくても燃えているもの。そんな風にも思いました。
週が明けるとエ-ルが始まりますね。モデルの方の出身地が近いので、どんなドラマになるか楽しみです♪
るんるんさん
大きな変化があっても日々は流れていく…本当にその通りですね。振り返ると、「フレア」の歌詞はすごくスカーレットにハマっていましたよね。とてもいい半年間でした。
が、予断を許さない半年だったので、燃え尽きた感があります(笑)ロスとは違う感覚だなぁ…。今までにない感覚かもしれません。